カナダ
国旗のデザインの意味と由来
カナダの国旗は「メイプル・リーフ・フラッグ(カエデ旗)」と呼ばれている旗で、中央の大きなカエデの葉が特徴です。赤は第一次世界大戦で犠牲になったカナダ人の血を、白は雪をあらわし、左右に赤があるのはこの国が太平洋と大西洋に面していることをあらわしています。赤が海をあらわす、他に類のない国旗です。
サトウカエデはカナダのシンボルツリーでもあり、カナダの特産品メイプルシロップの原料となる木。開拓時代は、このサトウカエデの樹液をすすって飢えをしのいだという話もあります。また、カエデの葉は9月末以降、カナダの全土を赤く覆います。世界中で愛されている物語『赤毛のアン』の舞台となったカナダのプリンス・エドワード島でも、山全体が真っ赤に見えるほどカエデの紅葉を見ることができるそうです。
"Maples are such sociable trees," said Anne;
"They're always rustling and whispering to you"
「楓って、とても社交的な木よ」とアンは言う。
「いつもさらさら言っては人になにかささやいているのね」
カナダの小説家 ルーシー・モード・モンゴメリの作品『赤毛のアン』より
カナダの国名について
16世紀に探検家が先住民から聞いた「村」や「村落」を意味する言葉「カナカ」がもと。その後、もっと大きな地域を指す言葉となり、18世紀のはじめには現在のアメリカ中西部を指すようになった。
カナダの国旗の歴史
カナダは、ロシアに次いで世界で2番目に大きな面積を持つ国です。15世紀末にヨーロッパ人が来航するまでは、アメリカ・インディアンが部族ごとに住む地でした。
16世紀以降、イギリスとフランスが相次いで植民地を作りましたが、17世紀から18世紀にかけてイギリス対フランスの北米植民地戦争が起こり、その結果イギリスの支配が確立します。
1867年、カナダ自治領が成立、1931年にはイギリス連邦に加盟し、自治権を得て独立しますが、国家元首はイギリスの君主でした。そのためしばらくは、国旗にイギリスのユニオンジャックとカナダの紋章の両方が置かれていました。
この旗のように、カントン部分にイギリス国旗のついた赤い旗を「レッド・エンサイン(イギリス赤色船舶旗)」といいます。カナダでは独立後も、暫定的にこの旗が使われていたのです。
カナダ建国100年を目前にした1965年、独立から30年以上たっても正式な国旗がないことに気づいたレスター・ボールズ・ピアソン首相は、カナダの正式な旗を選ぶための委員会を作りました。レッド・エンサインはイギリス系のカナダ人には人気がありましたが、フランス系のケベック州の人々は「民族色のない国旗にしたい」と主張したため、話し合いが続きました。
長い議論の末、「ピアソンズ・ペナント」とよばれる新しい旗が生まれました。しかし、皆が満足することはなく、激しい意見のやりとりがまだまだ続いたといいます。
そして1964年、カナダの歴史家、作家、兵士、教師、公務員であったジョージ・スタンレー博士がデザインした現在のカナダの国旗🇨🇦が国旗に制定されました。「赤が太平洋と大西洋をあらわしているのは不自然」という声も上がりましたが、青・白・赤を使うとフランス国旗のイメージと重なることや、印刷の際に単色の方が都合が良いこともあり、結局現在の赤×白の旗に決定されました。
余談ですが、カナダの首都オタワにある国会議事堂の「平和の塔」のてっぺんにひるがえる国旗は、毎朝あたらしいものに取り替えられます。そして1日しか使われない旗は、政府によって人々に渡されます。だれでも手に入れられるものですが10年待ちの状態なのだとか。
カナダの国データ
正式名称 | カナダ |
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英語表記 | Canada |
漢字表記 | 加奈陀(略記:加) |
首都 | オタワ |
略号 | CAN |
面積 | 998万5000㎢(日本の約27倍) |
人口 | 3724万人 |
通貨 | カナダ・ドル |
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言語 | 英語、フランス語 |
民族 | 白人、南アジア系、中国系、黒人、先住民族 |
宗教 | キリスト教(カトリック、プロテスタントなど)など |
独立年 | 1931年にイギリスから独立 |
国旗の比率 | 1:2 |
在留邦人数 | 7万25人 |