ネパール
国旗のデザインの由来と意味
世界で唯一、三角形を2つ繋げた形をしているネパールの国旗。
赤は国花のシャクナゲの色で国民の勇気をあらわし、青は平和と調和をあらわします。また2つの三角形はヒマラヤ山脈をかたどり、2大宗教であるヒンドゥー教と仏教をあらわしています。
月は平穏とかつてのネパール王室を、太陽は力と、20世紀中頃まで専制政治を世襲してきたラナ将軍家を、それぞれ象徴するといわれています。同時に、月と太陽を結びつけることによって、天体と同じように永遠に国が栄えることをあらわします。
ネパールでは、月と太陽のシンボルは装飾品などでもよく使われています。
三角形を上下に並べた珍しい旗ですが、実はインド半島では昔から三角形の旗がよく使われていて、ネパールでは19世紀の初めから国旗として使われてきました。
ネパールの国章
エベレスト山に、シャクナゲが満開に咲く様子が描かれている円形紋章。上に国旗、中央にエベレスト山、丘と白いネパールの地図、男女同権をしめす男女の握手。
下の赤いリボンにはネパールの国の標語で、「 जननी जन्मभूमिश्च स्वर्गादपी गरीयसी(母と母国は天国より素晴らしい)」とサンスクリット語で記されています。
ネパールの国名について
「山麓(さんろく)の居住地」を意味するサンスクリット語に由来するという説が有力だが、「神聖な土地」を意味するチベット語に由来するという説もある。
ネパールの歴史
ネパールは、ヒマラヤ山脈南麓に位置する、世界に名だたる山岳国家です。北は中国、南はインドと国境を接し、中央アジアと南アジアを結ぶ要地にあり、中世には商業・文化の中心地として発展しました。
国民の約80%がヒンドゥー教徒で、約10%が仏教徒とされています。ヒンドゥー教が盛んですが、南部のルンビニ地方は、仏教の開祖釈迦誕生の地といわれ、多くの仏教寺院があります。仏教興隆に貢献したアショーカ王は、この地に仏陀生誕の地を示す石柱を建てました。
多民族国家のネパールでは、ヒンドゥー教の寺院と仏教の寺院が隣接していることも多く、2つの宗教の境界は曖昧なのだそうです。例えば、仏教寺院にヒンドゥー教の女神たちが祀られ、額にティカを付けたヒンドゥー教徒が仏様にお参りをしているという具合です。
100を超える民族の伝説が混在し、ヒンドゥー教も仏教も、それぞれお互いの宗教の要素を取り込みながら独自に発展し、そして何世紀にもわたって共存してきました。
また、首都のカトマンズは仏教・ヒンドゥー教両方の聖地でもあります。
- 5世紀頃、最古の王朝とされるリッチャビ朝が登場し、13世紀頃にマッラ王国が成立。15世紀後半に分裂し、18世紀にグルカ勢力によって統一されるまで続く。
- 1814年から始まるイギリスとの戦争にやぶれ、1846年には親英政策をとるラナ家による専制政治が始まる。
- 1951年に王政復古がなされるが、政情は安定せず、1960年の国王親政や1990年の憲法発布などを経て、政党政治が復活する。
- その後も政権争いが続き、1996年にネパール共産党の毛沢東主義派が武装闘争を開始。
- 2006年に和平が進み、2007年、暫定憲法と暫定議会が発足し、翌年、連邦民主共和制へ移る。
ネパールの国データ
正式名称 | ネパール連邦民主共和国 |
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英語表記 | Federal Democratic Republic of Nepal |
漢字表記 | 尼婆羅 |
首都 | カトマンズ |
略号 | NPL |
面積 | 14万7000㎢(北海道の約1.8倍) |
人口 | 2930万人 |
通貨 | ネパール・ルピー |
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言語 | ネパール語 |
民族 | パルバテ・ヒンドゥー族、マガル族、タルー族、タマン族、ネワール族など |
宗教 | ヒンドゥー教、仏教、イスラム教など |
独立年 | 1768年シャハ王朝成立 |
国旗の比率 | 11:9 |
在留邦人数 | 1147人 |