スーダン
国旗のデザインの由来と意味
緑は繁栄と農業を、赤は闘争と犠牲者を、白は平和・光・愛を、黒はスーダンの国名「黒人の国」をあらわします。1970年から使われている国旗で、当時のエジプトの旗(アラブ解放旗)をモデルにしたデザインです。赤・白・黒の「アラブの統一」を象徴する3色に、イスラム教の色である緑を加えました。
汎アラブ色の配色で、スーダンがアラブの一員であることを国際社会に示した国旗といえます。
旗竿側の緑の三角形が、汎アラブ色を使った国旗の中でも他の国にはない珍しいパターンです。
スーダンの国旗の歴史
1819年のムハンマド・アリーの侵略以降、スーダンはエジプトによって支配されていましたが、この植民地体制は、エジプトによる重税と奴隷交易の禁止のためにスーダンの人々に反発されていました。
1870年代になると、ムスリムのシャイフ(部族の長老、首長、崇拝される賢人、師匠、あるいはイスラーム知識人を意味するアラビア語)のムハンマド・アフマドは信仰の革新と国土の解放を伝道し、多くの信者を従えました。
1881年、ムハンマド・アフマドは、自らを「マフディー」(イスラム世界での「約束された救世主」)であると宣言し、エジプトとイギリスの連合軍に対して反乱を起こします(マフディーの乱)。そして、マフディー国家を建設しました。このマフディー国の国旗はこんなデザインでした。
中央に白い槍と上向きの三日月を配した黒・赤・緑の横三色旗です。マフディー国家はイスラム法(シャリーヤ)を元に統治を行い、13年間スーダンを支配しました。しかし1889年、エジプト・イギリス連合軍に敗れ、イギリスとエジプトの共同統治下に入ります。
第二次世界大戦後の1956年、イギリス・エジプトの共同統治からスーダン共和国として独立。その時に制定されたのがこの国旗です。
青・黄・緑の横三色旗で、青はナイル川を、黄色は砂漠を、緑は豊かな土地をあらわしていました。
ちなみにこの配色は、現在のガボンの国旗🇬🇦の逆の配色です。
この後スーダンは、1969年の軍事クーデターによって社会主義路線に転向し、翌年国名を「スーダン民主共和国」と改名し国旗を制定しました。それが現在の国旗🇸🇩です。
1985年、国名が「スーダン共和国」に戻ってからも同じ国旗が使われています。
スーダンの国名について
アラビア語の「ビリャド・エス・スーダン(黒人の土地)」に由来する。もともとスーダンは、北アフリカのアラブ人から見て南(西アフリカ〜東アフリカ)の黒人居住地を指す地域名称だったが、ナイル川上流域で、アラブ人と混血した黒い皮膚を持つ人々をスーダン人と呼ぶようになり、これが国名となった。
スーダンの歴史
スーダンは、アフリカ東北部に位置する共和国で、国土の真ん中をナイル川が横断しています。
アラブ文化とアフリカ文化の影響を色濃く受け継ぎ、紀元前以来の繁栄と文化に基づく様々な遺跡を数多く残しています。
独立後には、北部のアラブ系イスラム教徒と南部の非イスラム系黒人勢力との間の内戦により社会的な混乱を招き、2005年に和平協定が結ばれた後、2011年に南スーダン共和国が分離独立しました。
19世紀末、列強のアフリカ分割において、アフリカ縦断政策をとるイギリスと、アフリカ横断政策をとるフランスの対立で名高い「ファショダ事件」が起こった場所としても有名ですね。
(このときは衝突は回避され、フランスがファショダを明け渡し、アフリカにおける主導権はイギリスが握りました。イギリスは南アフリカ戦争でアフリカ南端のケープ植民地を拡張し、南アフリカ連邦を成立させました。)
- 紀元前10世紀頃〜350年頃にクシュ王国が栄え、紀元前750年頃にはエジプトを支配したこともある。
- 14世紀の初め、エジプトのマムルーク朝に征服され、イスラムの影響を受ける。
- 1821年、エジプトのムハンマド・アリー朝のイスマーイール・パシャにより後のスーダン北部が征服された。エジプトは次第に南部に支配を広げた。
- 1840年、エジプトそのものがロンドン条約によってイギリスの保護下に置かれた。
- 1881年にムハンマド・アフマドがマフディーの乱を起こすが、1898年にイギリス・エジプト連合軍に敗れ、イギリスとエジプトの共同統治下に入る。
- 第二次世界大戦後の1956年に独立。
- 北部のアラブ系イスラム教徒と南部のアフリカ系住民が対立し、1983年から内戦に突入。
- 2005年に和平協定が結ばれ、2011年、南部は南スーダンとして独立する。
- 2003年、西部のダルフール地方でアラブ系の民兵がアフリカ系住民を虐殺する事件が起こり内戦に発展するが、2013年に停戦協定が結ばれた。
スーダンの国データ
正式名称 | スーダン共和国 |
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英語表記 | The Republic of the Sudan |
漢字表記 | 蘇丹 |
首都 | ハルツーム |
略号 | SDN |
面積 | 188万㎢(日本の約5倍) |
人口 | 4053万人 |
通貨 | スーダン・ポンド |
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言語 | アラビア語、英語、各部族語 |
民族 | アラブ人、ヌビア人、ヌバ人、フール人、ベジャ人など |
宗教 | イスラム教、キリスト教、伝統宗教など |
独立年 | 1956年にイギリスとエジプトから独立 |
国旗の比率 | 1:2 |
在留邦人数 | 134人 |